育児休業からの復職は、本人にとって喜びであると同時に、大きな負担が重なる時期でもあります。産後の体調の回復、夜間の授乳による睡眠不足、子どもの急な発熱や保育園からの呼び出しなど、休業前とは生活が大きく変わっています。
この記事では、産後の心身の変化と、育休明けの従業員を支えるための制度や職場の配慮、産業医面談の活用について解説します。
この記事のポイント
- 産後は体調の回復に時間がかかり、産後うつなどメンタルヘルスの不調も起こりやすい時期です
- 短時間勤務や柔軟な働き方など、育児・介護休業法で定められた制度を確認しましょう
- 復職前の面談で、体調や働き方の希望を丁寧に確認することが大切です
産後の心身の変化
体の変化
- 出産による体の回復には個人差があり、帝王切開の場合は回復に時間がかかることもあります
- 授乳中は、夜間の授乳による睡眠不足が続くことがあります
- 貧血や、腰痛・腱鞘炎などの育児にともなう体の不調
- 産後に甲状腺の機能が変化し、疲れやすさや気分の変動が起こることもあります
心の変化
産後は、ホルモンの急激な変化や睡眠不足、育児の不安などから、気分が不安定になりやすい時期です。一時的な気分の落ち込み(マタニティブルーズ)のほか、産後うつは産後の女性の約10人に1人に起こるといわれています。復職後に仕事と育児の両立の負担が重なることで、心身の不調が表面化することもあります。
また、男性も、子どもが生まれた後に気分の落ち込みを経験することがあると分かってきました。育児休業を取得した男性社員の復職時にも、同じように気を配ることが大切です。
育児・介護休業法で定められた主な制度
| 制度 | 概要 |
|---|---|
| 短時間勤務制度 | 3歳未満の子を養育する従業員が利用できる(1日原則6時間) |
| 所定外労働の制限 | 小学校就学前の子を養育する従業員が請求できる(2025年4月から対象を拡大) |
| 子の看護等休暇 | 小学校3年生修了までの子について、病気やけがの看護、感染症による学級閉鎖、入園式・卒園式などの行事参加などに利用できる(2025年4月から拡大) |
| 柔軟な働き方を実現するための措置 | 3歳から小学校就学前の子を養育する従業員向けに、始業時刻の変更、テレワーク、短時間勤務、養育両立支援休暇、保育施設の設置運営等のうち、事業主が2つ以上を選択して措置(2025年10月から) |
| 個別の周知・意向確認 | 妊娠・出産の申出時や子が3歳になる前に、制度の周知と働き方に関する意向の確認・配慮を行う |
また、労働基準法では、1歳未満の子を育てる女性は1日2回、各30分以上の育児時間を請求できると定められています。搾乳が必要な場合のスペースの確保なども、職場でできる配慮の一つです。
復職前面談のポイント
復職の前に、人事担当者や上司、必要に応じて産業医が面談を行い、次のような点を確認しておくとスムーズです。
- 体調:産後の回復状況、睡眠、持病や治療の有無
- 育児の状況:保育園の送迎時間、家族のサポート体制、子どもの急病時の対応
- 働き方の希望:短時間勤務、テレワーク、残業の可否など
- 業務内容:休業中の業務の変化、復職後の担当業務、段階的な業務量の調整
- キャリアの希望:将来のキャリアについての考え
本人の希望を確認せずに、「子どもが小さいから」と一方的に業務を軽くすることは、かえって本人の意欲を下げてしまうことがあります(いわゆる「マミートラック」)。配慮と期待のバランスを、本人と話し合いながら決めていくことが大切です。
復職後のフォロー
復職直後は緊張感から頑張れていても、1〜3か月ほど経ってから疲れが出てくることがあります。子どもが保育園で感染症をもらいやすい時期でもあり、休みが続いて自分を責めてしまう人もいます。復職後もしばらくは定期的に面談の機会を設け、体調や働き方を確認していきましょう。
気分の落ち込みや不眠が続く、仕事に集中できないなどの様子が見られる場合は、早めに産業医や医療機関への相談を勧めてください。
妊娠中の配慮については「妊娠中の従業員への配慮」、病気療養からの復職支援については「職場復帰支援の流れと産業医の役割」もあわせてご覧ください。
アステラ産業医事務所にご相談ください
アステラ産業医事務所では、育休明けの復職支援や、育児と仕事の両立支援について、産業医の立場から企業の体制づくりと従業員への健康支援を行っています。女性の健康やプレコンセプションケアに関する研修、衛生委員会でのミニ講話、個別の産業医面談にも対応しています。
東京・新宿を拠点に、オンライン面談を活用して全国の企業様をサポートしています。英語での面談にも対応可能です。

