乳がんや子宮頸がんは、働く世代の女性に多いがんです。特に子宮頸がんは20代後半から30代で増え始め、乳がんは30代後半から増えて40代後半から50代にかけて多くなります。日本人女性のおよそ9人に1人が、生涯のうちに乳がんと診断されるといわれています。
一方で、どちらのがんも、検診で早期に見つけて治療すれば、治る可能性が高いがんです。この記事では、検診の受診を後押しする企業の取り組みと、がんと診断された従業員の治療と仕事の両立支援について解説します。
この記事のポイント
- 乳がん・子宮頸がんは、定期的な検診による早期発見が大切です
- 企業は、受診しやすい環境づくりと正しい情報の提供で、検診を後押しできます
- 2026年4月から、治療と仕事の両立支援が事業主の努力義務になりました
国が推奨するがん検診
| がん検診 | 対象年齢 | 受診間隔 | 主な検査 |
|---|---|---|---|
| 子宮頸がん検診 | 20歳以上 | 2年に1回 | 子宮頸部の細胞診(30〜60歳ではHPV検査単独法で5年に1回とする方法もあり、自治体によって異なる) |
| 乳がん検診 | 40歳以上 | 2年に1回 | マンモグラフィ |
子宮頸がんの多くは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因です。HPVワクチンによる予防と、定期的な検診の両方が大切です。乳がんについては、検診に加えて、日頃から自分の乳房の状態に関心を持ち、しこりなどの変化に気づいたら受診する「ブレスト・アウェアネス」という生活習慣も勧められています。
職場でのがん検診の位置づけ
労働安全衛生法にもとづく定期健康診断には、がん検診は含まれていません。職場でのがん検診は、企業や健康保険組合が任意で実施するものです。そのため、「会社の健診を受けていれば大丈夫」と思い込み、がん検診を受けていない従業員もいます。
企業ができる受診の後押し
- 定期健康診断にあわせて、婦人科検診・乳がん検診を受けられるようにする
- 健康保険組合や自治体の検診制度を、従業員に分かりやすく案内する
- 検診のための休暇や、勤務時間中の受診を認める
- 検診費用の補助
- がん検診の意義や、乳がん・子宮頸がんに関する健康教育を行う
検診の結果は、本人の同意なく企業が把握すべき情報ではありません。精密検査が必要と判定された場合に、確実に受診につながるよう、受診しやすい環境を整えることが企業の大切な役割です。
治療と仕事の両立支援が努力義務に
2026年4月1日に施行された改正労働施策総合推進法により、事業主は、病気の治療を受ける従業員について、就業によって症状が悪化することなどを防ぎ、治療と仕事の両立を支援するため、相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならないこととされました。
がんの治療は、手術のほか、抗がん剤治療や放射線治療、ホルモン療法など、通院しながら長期間続くことも多く、治療の副作用で体調に波が出ることもあります。治療を続けながら働き続けられるように支えることが、企業に求められています。
両立支援の進め方
- 従業員からの申出:本人が主治医に仕事の内容を伝え、就業上の配慮について意見を求める(会社は勤務情報を提供する)
- 主治医の意見の確認:主治医の意見書をもとに、必要な配慮を検討する
- 産業医の意見:職場の状況を踏まえて、就業上の措置について産業医が意見を述べる
- 両立支援プランの作成:通院の予定、勤務時間や業務内容の調整、フォローの方法などを本人と話し合って決める
- 定期的な見直し:治療の経過にあわせて、プランを見直していく
厚生労働省の「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」では、主治医への情報提供や意見書の様式例なども示されています。
プライバシーへの配慮
がんなどの病気に関する情報は、特に配慮が必要な個人情報です。誰に、どこまで伝えるかは、必ず本人の同意を得て決めましょう。本人が職場に言い出しにくいと感じている場合には、産業医が相談窓口となり、本人の意向を踏まえて職場に必要な配慮を伝えることもできます。
アステラ産業医事務所にご相談ください
アステラ産業医事務所では、がん検診の受診促進や、治療と仕事の両立支援について、産業医の立場から企業の体制づくりと従業員への健康支援を行っています。女性の健康やプレコンセプションケアに関する研修、衛生委員会でのミニ講話、個別の産業医面談にも対応しています。
東京・新宿を拠点に、オンライン面談を活用して全国の企業様をサポートしています。英語での面談にも対応可能です。

