健康診断の結果で「貧血」を指摘されても、「いつものこと」「自覚症状がないから大丈夫」と、そのままにしている若い女性は少なくありません。また、体重が少ない「やせ」についても、健康上の問題として意識されることはあまりありません。
しかし、貧血ややせは、日々の仕事のパフォーマンスに影響するだけでなく、将来の健康や妊娠・出産にも関わる大切な健康課題です。この記事では、健康診断結果の見方と、企業としてできるフォローについて解説します。
この記事のポイント
- 若い女性の貧血の多くは鉄欠乏性貧血で、月経の出血が主な原因の一つです
- 過多月経の背景に子宮筋腫などの病気が隠れていることもあります
- やせ(BMI18.5未満)は骨や月経、将来の妊娠にも影響するため注意が必要です
若い女性に多い鉄欠乏性貧血
貧血は、血液中のヘモグロビンが少なくなった状態です。一般的に、成人女性ではヘモグロビン値がおおむね12g/dL未満で貧血とされます(基準値は検査機関によって多少異なります)。
若い女性の貧血の多くは、体内の鉄分が不足して起こる鉄欠乏性貧血です。月経による出血で鉄が失われることに加え、食事からの鉄の摂取不足などが重なって起こります。
貧血による主な症状
- 疲れやすい、だるい
- 階段や坂道で息切れや動悸がする
- 頭痛、めまい、立ちくらみ
- 集中力の低下
- 氷をかじりたくなる(氷食症)
貧血はゆっくり進むと体が慣れてしまい、症状に気づきにくいことがあります。治療を始めてから「こんなに体が楽になるとは思わなかった」と話す人も少なくありません。
過多月経の背景に病気が隠れていることも
月経の出血量が多い(夜用ナプキンが1〜2時間でいっぱいになる、レバー状の塊が出る、など)場合、子宮筋腫や子宮腺筋症などの病気が隠れていることがあります。貧血を指摘された場合は、鉄剤による治療だけでなく、原因を調べることも大切です。
月経にともなう不調と職場の配慮については、「月経・PMSと仕事|企業ができる配慮と相談しやすい職場づくり」で解説しています。
「やせ」も健康課題です
BMI(体重kg÷身長m÷身長m)が18.5未満の状態を「やせ」といいます。国民健康・栄養調査では、20代女性のおよそ5人に1人がやせに該当するとされており、若い女性に多い健康課題です。
やせが体に与える影響
- 骨量が十分に増えず、将来の骨粗しょう症のリスクが高まる
- 月経不順や無月経
- 疲れやすさ、冷え、免疫力の低下
- 将来妊娠した場合に、低出生体重児のリスクが高まる
仕事の忙しさから食事を抜いたり、偏った食事が続いたりしていることが背景にある場合もあります。また、体重や体型を強く気にして食事を極端に制限している場合には、専門的な支援が必要なこともあります。体重について本人に指摘するときは、責めるような言い方にならないよう、健康を気づかう姿勢で伝えることが大切です。
企業ができるフォロー
1. 再検査・受診の勧奨
健康診断で貧血などの所見があった従業員には、再検査や医療機関の受診を勧め、その結果を確認することが大切です。労働安全衛生法では、健康診断で異常の所見があった従業員について、医師の意見を聞き、必要に応じて就業上の措置を講じることが事業者に求められています。
2. 受診しやすい環境づくり
「忙しくて病院に行けない」という理由で受診が後回しになることも多いため、通院のための休暇や、時間単位の年次有給休暇を取りやすくしておくことが大切です。
3. 健康教育
- 若手社員研修で、貧血ややせの健康への影響を伝える
- 社員食堂や社内の情報発信で、鉄分やたんぱく質をとれる食事を紹介する
- 健康診断の結果の見方を解説する機会を設ける
産業医の役割
産業医は、健康診断の結果をもとに就業上の措置が必要かどうかを判断するとともに、従業員への保健指導や受診勧奨を行います。貧血ややせの背景にある生活習慣や、月経の問題、メンタルヘルスの状態などについても、面談で丁寧に確認することができます。
健康診断の結果の活用については、「健康診断の基本と対応フロー」もご覧ください。
アステラ産業医事務所にご相談ください
アステラ産業医事務所では、健康診断後のフォローや若手社員の健康教育について、産業医の立場から企業の体制づくりと従業員への健康支援を行っています。女性の健康やプレコンセプションケアに関する研修、衛生委員会でのミニ講話、個別の産業医面談にも対応しています。
東京・新宿を拠点に、オンライン面談を活用して全国の企業様をサポートしています。英語での面談にも対応可能です。

