「プレコンセプションケア」という言葉を聞くと、女性向けの取り組みを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、プレコンセプションケアは、性別を問わず、将来の妊娠・出産の可能性を含めたライフプランと健康について考える取り組みです。
この記事では、特に男性社員や若手社員に知っておいてほしい健康知識と、企業での取り組み方について解説します。
この記事のポイント
- 不妊の原因は男性側にあることも多く、男性の健康管理も大切です
- 喫煙、飲酒、肥満、睡眠不足などの生活習慣は、男性の将来の健康にも影響します
- 性感染症や風しんの予防は、自分とパートナー、将来の子どもを守ることにつながります
プレコンセプションケアとは
プレコンセプション(preconception)とは「妊娠前」という意味です。プレコンセプションケアは、妊娠を希望している人だけでなく、将来の選択肢を広げるために、若いうちから自分の体と健康に向き合う取り組みを指します。こども家庭庁も、性別を問わず、性や健康に関する正しい知識を持ち、将来の健康を考えて健康管理を行う取り組みとして推進しています。
男性が知っておきたい健康知識
1. 男性の生活習慣と妊よう性
不妊の原因は女性だけにあるわけではなく、男性側に原因があるケースも少なくありません。精子の状態には、次のような生活習慣が影響するといわれています。
- 喫煙
- 過度の飲酒
- 肥満
- 睡眠不足や強いストレス
- 長時間のサウナや高温環境など、精巣が温まる状態
また、男性も年齢とともに妊よう性(妊娠に関わる力)が変化することが分かっています。「男性は何歳でも大丈夫」というわけではないことを、若いうちに知っておくことが大切です。
2. 性感染症の予防
近年、梅毒をはじめとする性感染症の報告が増えています。性感染症は、自覚症状が乏しいまま進行することがあり、パートナーへの感染や、将来の不妊、妊娠した場合の胎児への影響につながることもあります。予防の知識と、気になる症状があるときに早めに検査を受けることの大切さを伝えましょう。
3. 風しんなどワクチンで防げる感染症
妊娠初期の女性が風しんにかかると、生まれてくる赤ちゃんに難聴や心疾患などの障害(先天性風しん症候群)が起こることがあります。妊娠中の女性は風しんのワクチンを接種できないため、周囲の人、特に男性が抗体を持っていることが大切です。
過去に予防接種の機会がなかった世代の男性も多いため、自治体の抗体検査や予防接種の制度を確認し、職場の健康診断などの機会に抗体検査を受けることも有効です。
4. 生活習慣病の予防
20〜30代から始まる生活習慣の乱れは、将来の高血圧や糖尿病などの生活習慣病につながります。健康診断の結果を「まだ若いから大丈夫」と見過ごさず、早めに生活習慣を見直すことは、自分自身の将来の健康にとっても大切です。
パートナーの健康を理解することも大切
男性社員がパートナーの月経や妊娠、産後の心身の変化について正しく理解していることは、家庭での協力だけでなく、職場で女性の同僚や部下を理解することにもつながります。男女がともに学ぶことで、誰もが働きやすい職場づくりの土台になります。
企業での取り組み方
- 新入社員研修や若手社員研修に、プレコンセプションケアの内容を取り入れる
- 男女ともに受講する全社員向けの健康教育を実施する
- 健康診断の機会に、風しんの抗体検査や性感染症に関する情報を提供する
- 衛生委員会で、プレコンセプションケアや女性の健康をテーマに取り上げる
- 相談しやすい窓口(産業医、保健師など)を案内する
研修では、「子どもを持つべき」というメッセージにならないよう配慮が必要です。子どもを持つかどうか、いつ持つかは個人の選択であり、プレコンセプションケアは、その選択肢を広げ、自分らしい人生設計を支えるための健康教育です。
アステラ産業医事務所では、男女ともに参加できるプレコンセプションケア研修を行っています。研修内容の詳細は「企業向けプレコンセプションケア研修」のページをご覧ください。
アステラ産業医事務所にご相談ください
アステラ産業医事務所では、プレコンセプションケアや若手社員の健康教育について、産業医の立場から企業の体制づくりと従業員への健康支援を行っています。女性の健康やプレコンセプションケアに関する研修、衛生委員会でのミニ講話、個別の産業医面談にも対応しています。
東京・新宿を拠点に、オンライン面談を活用して全国の企業様をサポートしています。英語での面談にも対応可能です。

