執筆:諏訪内亜由子(アステラ産業医事務所 代表産業医)
働き方改革が叫ばれる現代でも、「長時間労働」は日本の多くの企業にとって避けられない課題です。特にメンタルヘルスの悪化と密接に関係していることが、近年の研究や厚生労働省の指針からも明らかになっています。
長時間労働の定義と健康リスク
脳・心臓疾患の労災認定基準では、発症前1か月におおむね100時間、または発症前2〜6か月の平均で月80時間を超える時間外労働がある場合、業務と発症との関連性が強いと評価されます。これらは安全・危険を分ける境界ではありません。労働時間に加え、勤務間の休息、深夜勤務、業務負荷等を総合的に確認することが重要です。
法令上の位置づけ
労働基準法では、法定労働時間を超えて労働させる場合、原則として36協定の締結・届出が必要です。労働安全衛生法では、時間外・休日労働が1か月当たり80時間を超え、疲労の蓄積が認められ、本人から申出があった労働者に対して、事業者が医師による面接指導を実施する仕組みがあります。対象や手続きは働き方・職種によって異なるため、労働時間を把握し、該当者へ速やかに案内できる体制が重要です。
メンタルヘルスへの影響
長時間労働が続くと、慢性的な疲労、睡眠障害、職場での孤立感が蓄積し、うつ病や不安障害の発症リスクが増加します。これは肉体だけでなく精神にも深刻な負担を与えるため、企業側の早期介入が求められます。
業務量と休息の状況を確認する
職種や地域だけでリスクを判断せず、実際の労働時間、業務量、休日の確保、睡眠、相談のしやすさを確認しましょう。長時間労働が続く場合は、産業医と連携して業務配分や休息の取り方を見直します。
産業医の役割
産業医は従業員の健康を守るだけでなく、経営者への助言も行います。主な対応内容は以下の通りです:
「アステラ産業医事務所」では、新宿・東京を中心に、各社に応じた柔軟な健康管理サービスを提供しています。
企業ができる対応
経営者・人事担当者がとるべき対策には以下があります:
- 時間外労働のモニタリングと抑制
- 健康診断とその後のフォローアップ
- ストレスチェックの年1回実施と記録管理
- 高リスク者への面接指導
また、従業員がメンタル不調を訴える前に、「未然に防ぐ」仕組みづくりが求められます。
まとめ
長時間労働は企業の競争力や従業員満足度を低下させる要因でもあります。今こそ、法令に準拠した産業医との連携を深め、働きやすい職場環境の整備が重要です。
「アステラ産業医事務所」では、企業ごとにカスタマイズした健康管理支援を通じて、メンタル不調の予防と早期発見をお手伝いしています。
外資系企業・外国人従業員への対応
外国人従業員への長時間労働面談では、睡眠、時差のある海外本社との会議、出張、業務量などを、本人が説明しやすい言語で確認することが重要です。アステラ産業医事務所では英語での産業医面談に対応し、本人のプライバシーに配慮しながら、人事担当者へ必要な就業上の意見をお伝えします。
外資系企業向け産業医サービス、英語での産業医面談の進め方もあわせてご覧ください。
疲労の確認には疲労蓄積度チェックリストも活用できます。面接指導の対象条件は時間外・休日労働80時間超の対応をご覧ください。
出典:厚生労働省「脳・心臓疾患の労災認定基準」。内容確認日:2026年10月13日。

