50人未満の事業場にも、2028年4月1日からストレスチェックの実施義務が広がります。厚生労働省は2026年2月に小規模事業場向けの実施マニュアルを公表しています。準備を進める人事総務にとって、次の課題は「どの委託先に、どこまで依頼するか」です。本記事では制度の概要ではなく、見積もりと契約、個人情報の管理を中心に確認事項を整理します。情報確認日は2026年10月11日です。
最初に、実施から面接指導までの流れを描く
委託前に、一連の業務を書き出します。対象は受検案内、受検、結果通知です。その後の面接の申出、医師面接、就業上の措置も含めます。次に、担当者と情報の受取人を決めます。これにより、面接する医師が未手配といった抜けを発見できます。担当者が一人の会社ほど、外部に任せる範囲を具体化することが大切です。
ストレスチェックは、病名を診断したり、人事評価に用いたりするための検査ではありません。従業員が自分の状態に気づき、心の健康を守ることが中心です。実施率だけを目標にすると、安心して回答できる環境が後回しになります。会社からの案内文にも、目的と情報の扱いを明記しましょう。
「実施者」と「システム提供者」を確認する
ストレスチェックの実施者には、医師、保健師など法令上の資格要件があります。所定の研修を修了した専門職も対象になります。看護師、精神保健福祉士、歯科医師、公認心理師などです。ただし、相談業務の経験だけで実施者になれるわけではありません。サービスを契約する際は、誰が実施者となり、結果の評価を担うのかを確認します。
質問票の配信機能だけを提供するサービスでは、実施者の確保や医師面接が別契約の場合もあります。「ストレスチェック対応」という名称だけでは範囲を判断できません。実施者、実施事務、結果通知の担当を見積書で確認します。また、面接指導と会社への意見提供が含まれるかも確認します。対象人数が変わる場合の料金も聞いておきましょう。
個人結果を会社が自由に閲覧できない設計にする
個人結果は本人に直接通知され、本人の同意なく事業者に提供することはできません。同意は、結果通知後に取得するなど、制度のルールに従う必要があります。導入時の包括的な同意だけで、会社が全結果を閲覧する運用は避けてください。結果を通知した後の同意手続きを確認します。
解雇、昇進、異動などについて直接の権限を持つ人は、個人結果を扱う実施事務に従事できません。小規模企業では経営者や人事責任者が事務を兼ねることもあります。その場合も、受検案内と結果の取扱いの担当を分けられるか確認します。管理画面の権限を契約前に説明してもらい、不要な閲覧権限が付かないようにします。
例えば、会社には未受検者への案内に必要な情報だけを届けます。個人結果の問合せは外部窓口で受ける設計が考えられます。ただし、誰のどの情報を確認できるかは、法令と実施規程に沿って決める必要があります。運用開始後に担当者を追加する場合も、初期設定と同じ確認を行いましょう。
高ストレス者の医師面接を別工程として確保する
高ストレスと評価され、面接指導が必要とされる場合があります。その労働者から申出があれば、事業者は医師の面接指導を行う必要があります。結果通知のメールだけで対応を終えないようにします。申出先、予約方法、面接場所を決めます。さらに、会社が用意する業務情報も確認します。
面接の実施後は、医師の意見を踏まえて就業上の措置を検討します。上司へ伝えるのは、業務量や勤務時間など、対応に必要な情報を中心に整理します。受検しないことや結果提供への不同意を理由に、不利益に扱わないことが重要です。面接指導の申出についても同様です。そのため、管理職にも制度の趣旨を伝えてください。
公的支援を使う場合は、対象事業場と支援内容を確認します。地域産業保健センターなどの利用条件や予約枠も確認してください。公的支援の対象範囲は個別に確認します。配信・回収から医師面接まで、すべてが提供されるとは限りません。委託サービスと公的支援の担当範囲を一枚にまとめると、連絡先の混乱を防げます。
保存・返却・削除まで契約で確認する
健康情報は、契約期間が終わってからの扱いも重要です。保存期間に沿った記録管理と、会社へ提供する記録を確認します。併せて、委託先変更時の引継ぎと不要なデータの削除方法も確認します。個人結果と医師面接の記録を混同せず、誰が保存責任を担うかを明確にしてください。
再委託の有無、アクセス制限、誤送信時の連絡、退職者のアカウント停止も質問項目です。操作の便利さだけでなく、担当者が交代しても必要な記録を安全に確認できるかを評価します。個人メールやスマートフォンを使う場合もあります。本人の負担や、通知内容の見え方にも配慮しましょう。
集団分析は、小さな集団から個人が推測されないように
部署別の結果を受け取る場合は、人数が少ない集団の扱いを必ず確認します。集計方法と本人同意の扱いを確認します。委託先には、最新の省令・マニュアルに沿った説明を求めましょう。役職、性別、年齢などで細かく分けるほど、回答者を推測しやすくなる場合があります。
結果の良し悪しで部署を順位付けすることは避けます。職場改善では、業務の偏りや相談のしやすさに目を向けます。例えば、休憩を取りやすくする運用も検討します。「毎週の業務配分を見直す」など、小さな行動と確認日を決めると、受検して終わりになりにくくなります。
導入前の最終確認
契約前は、担当と費用、実施規程を確認します。続いて、個人結果へのアクセスと面接指導の手配を確認します。最後に記録管理も確認してください。既存の管理職向けメンタルヘルス研修と組み合わせて周知すると、制度への理解を深められます。アステラ産業医事務所への相談では、事業場の人数と現在の実施体制をお知らせください。
参考にした公式情報
厚生労働省「ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策」、「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」の公表。施行前の準備と実施時の運用は、掲載される最新資料を確認してください。

