時間外労働80時間超の対応義務とは?

80時間超

働き方改革が進む中でも、なお多くの企業で課題となっているのが「長時間労働」です。とくに時間外労働が月80時間を超えた場合には、労働安全衛生法に基づく明確な企業の義務が発生します。

この記事では、人事・総務担当者向けに「80時間超の時間外労働があったとき、企業がとるべき対応」と「産業医との連携のポイント」について、わかりやすく解説します。

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なぜ80時間が“基準”なのか?

過労死ラインとの関係

厚生労働省は、月80時間超の残業を「過労死ライン」としています。この時間を超えると、脳・心臓疾患のリスクが急激に高まり、企業としての健康配慮が不可欠です。

労働安全衛生法での義務化

労働安全衛生法第66条の8では、時間外・休日労働時間が月80時間を超えた労働者に対し、医師による面接指導を実施することが企業の義務とされています。

この義務を怠ると、企業は安全配慮義務違反として労災認定や損害賠償請求のリスクを負うことになります。

面接指導の実施フロー

1. 対象者の抽出と通知

まず、労働時間の集計をもとに、1ヶ月あたり80時間超の時間外労働があった労働者を抽出します。対象者には、医師との面接指導を受けられることを通知します。

2. 面接指導の実施

対象者が希望した場合、速やかに医師による面接指導を実施します。ここでの対応は、嘱託または専属の産業医が行うのが一般的です。

3. 医師からの意見聴取と記録

医師(産業医)の意見は書面で受け取り、5年間保存する必要があります。また、就業上の措置(配置転換や休養等)を講じる際には、この意見が重要な判断材料となります。

アステラ産業医事務所の対応例

柔軟な面接体制

アステラ産業医事務所では、オンライン・対面どちらにも対応した医師面談体制を整えており、月80時間超の対応にも迅速に対応できます。

就業判定と経営層への助言

単なる“面談”で終わらせるのではなく、働き方や人員体制そのものに対する改善提案まで含めた総合的な助言が可能です。

面接指導を受けない社員にはどう対応?

社員が面接指導を拒否

ただし、企業としては拒否理由を把握し、書面で記録しておくことが重要です。また、引き続き健康配慮義務を果たすために、上司や人事によるフォロー面談など、間接的な対応も検討しましょう。 注意点とリスク管理 労働時間の正確な把握が前提 面接指導の前提として、時間外労働時間の正確な記録が必要です。PCログや入退室記録など、多角的な手段で実態把握をすることが求められます。 対応しないことのリスク 企業が面接指導を怠った場合、労働者が過労死や自殺に至った際に、企業の責任が重大になります。訴訟リスクを避けるためにも、制度対応は必須です。 まとめ 時間外労働80時間超というラインは、企業にとっての警戒信号です。労働安全衛生法で定められた企業の義務を果たすためには、産業医との連携が不可欠です。 面接指導は義務であると同時に、職場の健康文化を築く大きなチャンスです。アステラ産業医事務所では、制度対応だけでなく、実効性あるメンタルヘルス支援を通じて企業の安全配慮義務の履行を支援しています。 📩 長時間労働対応のご相談はアステラ産業医事務所へ
制度対応から、実務的なリスク回避・就業判定まで、経験豊富な医師が丁寧にサポートいたします。まずはお気軽にお問い合わせください。

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